日々雑感

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17. 5. 25(木)

共謀罪が衆院本会議で強行採決された

23日の夜、報道ステーションで 5月18日付で、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍首相宛てに送付していた事を報じた。
ケナタッチ氏は、マルタ出身のIT法の専門家。一昨年より国連人権理事会によりプライバシー権に関する特別報告者に任命されている。
ケナタッチ氏は書簡の中で

@ 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中に あって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えら れます。
A 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。
B 国家安全保障を目的として?われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法?に基づき設 置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する 個別の機関の裁?に委ねられることになると思われます。
C 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が 適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権?を侵害する程度についての監督で す。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判 所による監督と検証の質という問題が含まれます。
D 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新 法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判 所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたよう です(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)

と述べている。
つづいて「上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。」とあり、これは日本政府に情報提供と見解を求めているものです。
これに対し、菅官房長官は、「特別報告者は国連の立場を反映するものではない。(日本)政府が直接説明する機会はなく、公開書簡の形で一方的に発出された。内容は明らかに不適切だ」と述べたと新聞に載っている。
ところが、「特別報告者は国連の立場を反映するものではない」とあるが、「国連人権理事会の特別報告者」とは、 国連人権理事会に任命され、報告義務を負い、個別テーマまたは個々の国について、人権に関する助言を行う、独立した立場の人権の専門家のことを言う。だから、しっかりと国連の立場を反映しているのだ。
そして、「政府が直接説明する機会はなく、公開書簡の形で一方的に発出された」とあるが、これは日本政府に情報提供と見解を求めているものなので内容が不適切ならば具体的に資料を示して見解を明らかにしたら良いだけの事だ。
頓珍漢にも抗議をしてケナタッチ氏から反論され、バッサリ切られている。

産経ニュースには

ケナタッチ氏によると、「私が日本政府から受け取った「強い抗議」は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、1つの点においても反論するものではありませんでした。この抗議は、プライバシー権に関する私が指摘した多くの懸念またはその他の法案の欠陥について、ただの1つも向き合ったものではありません。」と指摘した。

とある。そして、要望を提出したと報じている。
これに対し菅官房長官は「日本政府は国連の正規のルートを含めて反論文を受け取っていない。何か背景があるのではないかと思わざるを得ない」と述べている。
日本の拉致問題は、この国連人権理事会の強制的失踪作業部会で取り上げられている。
こんなことがあると国連や世界との関係が今後どうなるのか心配だ。

国連からもダメだしされている「共謀罪」。
今日、衆院を通過してしまいましたが、参院では通過しないよう、書簡にもある問題点も広め、反対運動を盛り上げていかなくてはならない。

以下に書簡の全文(ひと様のブログです)のリンクです。
http://kosugihara.exblog.jp/23896599/

要望の全文のリンクです。
http://www.sankei.com/politics/news/170523/plt1705230032-n1.html

今朝の新聞一面に、加計学園の「総理のご意向」文書の事が載っている。どう展開するか。

17. 5. 20(土)

共謀罪が衆院委員会で強行採決された

4月21日にも書いたが、基本的人権が侵される恐れのある共謀罪(組織犯罪処罰法改正案)は大変危険なものだ。
安倍晋三首相は要約すると「テロ対策と条約」の二つが目的だと言ってきた。
ところが『テロ対策』にはあまり有効でない事。
『条約を批准する』には必要と言ってきたが、この条約はテロには関係ないと言う事が条約を作った人によって明らかにされた。
こんな中、国会で議論がされてきた。しかし、議論は深まらず、質問にもきちんと答えず、はぐらかしが目に余った。
共謀罪の成立要件は、
@「組織的犯罪集団」
A「構成員の間の犯罪の合意」
B「準備行為」
となっているので、野党はこれを追及した。
明らかになってきたことは、どんな団体が「組織的犯罪集団」なのかというと、「捜査機関が組織的犯罪集団だと疑う団体」がそれにあたる。
無茶苦茶なことだ。
共謀罪が成立すると、「捜査機関が組織的犯罪集団だと疑う団体」の「構成員間の犯罪の合意」があるかないかを調べることになる。
「準備行為」があるか無いかを調べるために、「監視」することになる。
逆に言えば、「監視」しないと「組織的犯罪集団」かどうか、「構成員間の犯罪の合意」があるかどうか、「準備行為」かどうかがわからない。
だから「監視」が共謀罪には欠かせない捜査手法になる。
「組織的犯罪集団」の認定は「捜査機関が組織的犯罪集団だと疑う団体」であり、捜査機関の思うがまま。
「構成員の間の犯罪の合意」も「目くばせでも構わない」との答弁がある。二人以上が「共謀した」と当局が見なせば、その時点で処罰できるという。これも捜査機関の思うがまま。
「準備行為」に至っては、花見の件が出てきて、「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯罪行為の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」と答弁。
馬鹿にした答弁で、答弁になっていない。地図やメモ帳はスマホで事足りる。双眼鏡にしてもスマホの写真の望遠で十分だ。
この答弁だと誰でもが捕まってしまうことになる。
この事から捜査機関に目を付けられれば、監視され、捜査されることになる事がわかる。
その対象は「一般の人は対象にならない」といっているが、誰でも監視や捜査の対象になることが明らかだ。
審議が十分でない、あいまいな点が多いこんな法律は成立させてはならない。
まだ衆院本会議、参院がある。法律の危険な内容が国民にしっかり理解できるように政府に説明させなければならない。そうなるように野党に本気で頑張ってもらわなければならない。
またこのような法律を賛成して成立させる自公維には、選挙の時に投票してはいけないのだ。

17. 5.11(木)

安倍「2020年に憲法改正」発言

5/3 安倍首相は憲法の改正の項目を具体的にいった。
一つは高等教育の無償化。もう一つは9条に第3項を加憲すること。
高等教育の無償化は維新の取り込みが目的であり、法律の改正で事足りるので、憲法問題にはならない。
問題は2つ目の「3項加憲」だ。
それは、「9条1項2項をそのままに3項目に自衛隊を明記するという改憲案」というもの。
これは、新9条を言っている人たちには支持されるかもしれない。
新9条の意見は要約すると、「自衛戦争はするが、集団的自衛権の発動による海外派兵や戦争は行わない。」と言う事だと思う。
安倍の案は矛盾はあるが、「集団的自衛権の発動による海外派兵や戦争は行わない。」を除いては新9条の意見と一致するところがある。

「自衛の戦争はするのか? 自衛のための戦争もしないのか?」と問われると苦しいところはあるが、かつての戦争は自衛のための戦争だとして第2次世界大戦に突入していった歴史がある。
その反省のもとに9条が出来たのだ。
新9条をとって「海外派兵や戦争は行わない」と規定しても、現憲法がこれだけ解釈改憲されているのだから、軍隊を持つことを憲法に入れてしまえば解釈改憲を含め、少しずつの憲法の改定で、大変なことになるのではないかと危惧されて仕方がない。
憲法学者の澤藤統一郎氏によると

「9条護憲派には大別して2種ある。
『自衛隊は違憲、安保条約も違憲。自衛権の発動としても一切の武力行使はできない』という伝統的護憲派陣営(A)と、
『自衛隊は合憲、安保も合憲。集 団的自衛権の行使は違憲だが、個別的自衛権の行使としてなら武力行使は可能』という旧来の保守本流の専守防衛陣営(B)」がある。

これによると、新9条の意見はB案に近い。
私の心配を考えると新9条の意見には反対と言う事になる。
国民全体の意見はどうかを考えると、またまた難しいことになる。
「自衛隊は台風などの時に活躍してくれるから必要だし、戦争しないで今のままだったらいいのではないか」というのが多いと思う。
ところが、この加憲案には裏の狙いがあるという。

リテラ(一部抜粋)によると安倍首相が元にしたという日本会議の伊藤氏の案について、

この加憲案は「(平和、人権、民主主義には)一切触れず、ただ憲法に不足しているところを補うだけの憲法修正=つま り「加憲」なら、反対する理由はないではないか、と逆に問いかけるのだ。
 さらに、具体的には〈例えば前文に「国家の存立を全力をもって確保し」といった言葉を補うこと、憲法 第九条に三項を加え、「但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するもの ではない」といった規定を入れること〉とまで言明している。
まさに安倍首相のいう「3項加憲」とまったく 同じである。
しかも見ての通り、伊藤氏は「加憲」の狙いが「護憲派の分断」にあると開陳している。
ようするに、本来、安倍首相や日本会議が悲願とする戦前回帰の改憲では国民の支持が得られないから、まずはソフトな 「加憲」から入り、一度憲法改正を実現させてから本丸へと切り込もうという、姑息きわまりない策略なのである。
 事実、伊藤氏は「加憲」を〈あくまでも現在の国民世論の現実を踏まえた苦肉の提案でもある〉とし、 〈まずはかかる道で「普通の国家」になることをめざし、その上でいつの日か、真の「日本」にもなってい くということだ〉と結んでいる。では、その「真の『日本』」とは何か。
 伊藤氏は〈戦後リベラリズムの系列に属するあらゆる発想の否定〉を理念とし(「明日への選択」03年10 月号)、大日本帝国憲法を〈その精神自体は大いに学ばれ、継承されるべきだと真剣に考える〉と絶賛して いる(同誌04年3月号)。これを踏まえれば、「改憲はまず加憲から」の先に描く青写真が、戦後民主主義の否定と復古的な臣民意識の確立なのは明白だ。


とあり、安倍首相の「9条に自衛隊明記」改憲案は日本会議幹部の発案だった事がわかる。

このねらいは、「加憲」を突破口にして戦前の大日本帝国憲法に戻し、戦後民主主義の否定と復古的な臣民意識の確立なのだ。
こんなことは国民誰しも考えていない。「加憲」に騙されてはいけないのだ。
この事を考えればB案や新9条は危険なことに手を貸すことになる。
しっかり考えなくてはいけない。
次に憲法学者の澤藤統一郎氏の「『9条 改憲新提案』に必要な反論」があったのでリンクしておく。

17. 5. 3(水)

海自の米艦防護は

4/30の新聞には
「2015年に成立した安全保障関連法に基づいて、平時から自衛隊が米軍の艦船などを守る「武器等防護」を実施するよう、稲田朋美防衛相が初めて自衛隊に命じたことが分かった。
米海軍の補給艦が防護対象という。複数の政府関係者が明らかにした。」とある
また 5/2の新聞には
「日本の戦後の安全保障政策を大きく変える安全保障関連法に基づいて、平時から自衛隊が米軍の艦船などを守る「武器等防護」が1日、初めて実施された。
北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、核実験の準備を進める中での実施。
米軍との一体化が進み、「巻き込まれ」への懸念を指摘する声もある。」ともある。

これは、合同演習でもなく、合同訓練でもない。
米艦船が有事に関わった場合にその米艦を防護する実戦の命令なのだ。
まだ戦争は始まっていないが、戦争に向かう船である。補給艦というから狙われやすい船だ。
安保法関連法案によって、防衛大臣の判断で実施命令を下す事が出来る。
その命令が、稲田防衛相の判断で下されたのだ。
戦場に向かっている船と行動を共にするのだから、明らかに戦争に参加することだ。
これは憲法9条違反だ。憲法9条違反がなし崩し的に行われたのだ。
どうして進んで戦争に参加しようとするのか。どうして戦争に巻き込まれようとするのか。
アメリカが攻撃しない限り北朝鮮は攻撃してこないことは明らかだが、安倍内閣の考えが全く分からない。
国会中継が行われていないので、国会が開かれているかどうかわからないが、この問題を野党は抗議するのだろうか。追及するのだろうか。
連休明けまで国会がないのなら、連休明けに野党はしっかりと追及しなければならない。